パワーハラスメント法的規制案閣議決定

政府は新年度の国会提出に向けてパワーハラスメントを防ぐ措置を企業に義務付ける法案を閣議決定しました。今までパワーハラスメントに対する法的規制はありませんでした。2017年度の労働局への相談では「いじめ・嫌がらせ」に関する者が7万2千件を超えています。いじめ・嫌がらせ・暴行を受けた事による精神障害の労災認定件数も88件で増加しています。

職場のパワーハラスメントについては周知啓発が行われてきましたが対策を抜本的に強化する事が社会的に求められていました。

法案ではパワハラは「上司等の優位性的な関係を背景に業務上必要な範囲を超えた言動で働く環境を害する事」と定義されています。企業に相談窓口設置や社内の処分内容を就業規則に設ける事が義務付けられます。

パワハラの6類型

パワハラの具体的行為とは業務指示や指導との線引きを明確にするため、厚労省はパワハラをめぐる6つの行為類型を示しています。

1、具体的な攻撃 暴行等

2、精神的な攻撃 暴言、怒鳴る、侮辱、人前での叱責、メールでの罵倒等

3、人間関係からの切り離し 1人だけ隔離、強制的自宅待機、仲間はずれ、無視

4、過大な要求 1晩で遂行不可能な量の業務の押付け、仕事のやり方が分からない新人に他の仕事まで押しつけ先に帰る

5、過小な要求 本来の業務とは関係の無い、簡単な業務だけを命ずる

6、個の侵害 部下の交際相手の事をしつこく問う、部下の妻の悪口を言う

このうち1~3は通常業務に必要とは考えられない為裁判では暴言等精神的な攻撃型のパワハラを認定しています。

阻害される仕事への意欲

パワハラは従業員の仕事へのやる気を阻害します。厚労省の調査でも従業員が能力を十分発揮できなくなるとの回答が81%もあり、「職場の生産性が低下する」が68%。人材流出の要因となる大きなリスクをはらんでいます。

厚生労働省は2月14日、労働政策審議会(会長・樋口美雄独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長)
に対し、企業にパワーハラスメント防止のための措置を義務付けることなどを主な内容とした
「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」を諮問した。
諮問を受けた同審議会は、これを同審議会雇用環境・均等分科会(分科会長・奥宮京子弁護士)で検討した結果、
厚生労働省案を「おおむね妥当と認める」とする答申を取りまとめ、同日、根本厚労相に提出した。
それによると、事業主に対して、職場のパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置(相談体制の整備等)
を新たに義務付ける(労働施策総合推進法の改正)。
あわせて、措置の適切かつ有効な実施を図るための指針を厚生労働大臣が定めるとしている。
また、パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会
による調停の対象とするなどとしている。
このほか、労働者が事業主にセクシュアルハラスメント等の相談をしたこと等を理由とする解雇、
その他の不利益な取扱いを禁止することも盛り込まれた(男女雇用機会均等法の改正)。
なお、パワハラ防止措置の義務化に関する改正規定の施行期日は、改正法公布日から1年以内となっている。
ただし、中小企業については公布日から3年以内に義務化とし、それまでは努力義務とする経過措置が
とられることになっている。
厚生労働省は、来月にも法案を提出し、今国会での成立を目指すこととしている。

労働調査会 2019、2,15インフォメーション