制度維持の為、年金削減の方向性

厚労省は、公的年金の給付水準を物価動向に関わらず毎年抑制する仕組みを来年度から導入する方針を発表しました。

現行のルールではデフレ下では年金を削減できない仕組みになっています。

最近は増税を背景に物価が上昇しているので現状でも年金額の抑制はされます。

しかし今後、物価上昇率が低い時に給付を抑制できない現行制度のままでは給付額を抑えられないので、年金制度維持の為には毎年の抑制が必要となると試算をしています。

マクロ経済スライド発動

年金制度の運営方法は賦課方式積み立て方式があり、公的年金は賦課方式でその時々に必要な費用を現役世代が払った保険料で賄います。

多くの国が採用している方式ですが高齢者が増え現役が少ない人口構成では将来受け取る年金額が減ると言う事になります。

積み立て方式は債権、株などに投資して増やす方式で企業年金等が採用していますが、経済の影響を受けやすく、運用がうまくいかないと積立額は減り、年金額も減ります。

年金額は物価の変動に合わせて毎年の給付を調整する物価スライドと年金の増加を物価の伸びより抑えて給付を減額するマクロ経済スライドという方式があります。

2004年にマクロ経済スライドを導入したものの今まではデフレ下で使えない状況であった為発動されていませんでした。

今回、物価上昇を受け2015年度からこの方式を発動し、そして毎年0、9%を削減する方向で検討をしています。

受給者にも負担を求める

公的年金の財政検証では約30年後の会社員の年金水準は現役世代の50%を割り込む事もあると言います。(現在は60%程度)現役世代の保険料は毎年労使で0、354%ずつ引き上げられています。

年金額を抑制し、受給者にも負担を求めると言う事になります。世代間格差の原因は現在の受取額が想定よりも多くなったのでそのつけを現役が払う事になると言うのですが、「そんな事言われてもね」と思う方も多いでしょう。

しかし、年金財政の健全化は長期に渡り行っていく必要があり、不信感から現役が消費より貯蓄に走ると経済は沈みがちになると言う問題もはらんでいます。

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マクロ経済スライドってなに?

マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。

マクロ経済スライド導入の経緯

平成16年に改正する前の制度では、将来の保険料の見通しを示した上で、給付水準と当面の保険料負担を見直し、それを法律で決めていました。しかし、少子高齢化が急速に進む中で、財政再計算を行う度に、最終的な保険料水準の見通しは上がり続け、将来の保険料負担がどこまで上昇するのかという懸念もありました。

そこで、平成16年の制度改正では、将来の現役世代の保険料負担が重くなりすぎないように、保険料水準がどこまで上昇するのか、また、そこに到達するまでの毎年度の保険料水準を法律で決めました。また、国が負担する割合も引き上げるとともに、積立金を活用していくことになり、公的年金財政の収入を決めました。

そして、この収入の範囲内で給付を行うため、「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」というマクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整する仕組みを導入したのです。この仕組みを「マクロ経済スライド」と呼んでいます。

 

厚生労働省 「一緒に診断公的年金」HPより抜粋