死因贈与契約

死因贈与契約は贈与者と受贈者との間での契約です。そのため、贈与者死亡後、承認とか放棄とかの問題は生じず、贈与者が、生前契約により贈与するはずの財産を処分したり、契約を取り消したりすることはできず、処分等をした場合、契約違反で債務不履行の損害賠償を負うことになります。

 

遺贈

遺贈は遺贈者の「遺贈する」という一方的な意思表示で効力が生じるため、遺言書作成時に受贈者の承諾はいりません。そのため、受贈者は相続開始後、遺贈財産を受け取ることも放棄することもできます。遺贈者もいつでも相続財産を処分したり、遺言を取り消したりできます。

 

似て非なるもの

両者とも贈与者の死亡時すなわち、相続発生時に起こりますので、似ておりますが、法律的には全く別物です。死因贈与は民法上契約の一形態とされており、遺贈は相続時の財産分配の方法の一つとされております。

 

遺留分との関係は?

遺留分とは相続時に相続人が最低でも相続できる権利です。法定相続分の1/2とされております。配偶者と親子には認められますが、兄弟姉妹には認められません。

この遺留分を侵してまで、死因贈与や遺贈により相続人の財産が、他の者(他の相続人等)に相続された場合、遺留分減殺請求という手続きで、遺留分は他の者から取り戻すことができます。

しかしこの場合は遺贈が先行し、遺贈でも取り戻すことができない場合に死因贈与となります。

 

遺留分が侵されていない場合

相続が発生した後、死因贈与契約や遺贈とは別の分割の方がいいと相続人全員が合意した場合、遺産分割協議により、遺贈は如何様にも変更可能ですが、死因贈与は契約ですので、変更することはできません。

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債務者がその債務の本旨に従ひたる履行を為ささるときは債権者は其賠償を請求することを得債務者は責に帰すへき事由に因りて履行を為すこと能はさるに至りたるとき亦同し。
民法415条

民法554条

贈与者の死亡に因りて効力を生すへき贈与は遺贈に関する規定に従う。

最判昭32.5.21民集11-5-732)

死因贈与の方式については、遺贈に関する規定の準用はない。

民法964条

遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。

但し、遺留分に関する規定に違反することはできない。

(遺留分)

民法1042条 兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。

一 直系尊属のみが相続人である場合 三分の一

二 前号に掲げる場合以外の場合 二分の一

2 相続人が数人ある場合には、前項各号に定める割合は、これらに第九百条及び第九百一条の規定により算定したその各自の相続分を乗じた割合とする。

(遺留分侵害額の請求)

民法1046条 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

2 遺留分侵害額は、第千四十二条の規定による遺留分から第一号及び第二号に掲げる額を控除し、これに第三号に掲げる額を加算して算定する。

一 遺留分権利者が受けた遺贈又は第九百三条第一項に規定する贈与の価額

二 第九百条から第九百二条まで、第九百三条及び第九百四条の規定により算定した相続分に応じて遺留分権利者が取得すべき遺産の価額

三 被相続人が相続開始の時において有した債務のうち、第八百九十九条の規定により遺留分権利者が承継する債務(次条第三項において「遺留分権利者承継債務」という。)の額