多様な働き方による人材活用を

「令和2年版厚生労働白書(令和2年10月発行)」では政策課題への対応として労働環境の整備があげられていますが、その施策の一つに「多様な正社員等」の普及促進があります。この「多様な正社員等」は、ワークライフバランスや非正規社員の待遇が問題となる中で、企業の新たな人材活用の考え方として注目されています。

いわゆる従来型の正社員と比べ、配置転換や転勤、仕事内容や勤務時間などの範囲が限定されている正社員を意味し、たとえば、以下のような働き方の社員が想定されています。

・勤務地限定正社員:転勤するエリアが限定されていたり、転居を伴う転勤がなかったり、あるいは転勤が一切ない

・職務限定正社員:担当する職務内容や仕事の範囲が他の業務と明確に区別され、限定されている

・勤務時間限定正社員:所定労働時間がフルタイムではない、あるいは残業が免除されている

制度導入の効果

「多様な正社員」制度の導入によって企業側が得られる効果としては、社員個々の事情や考え方に応じた働き方を認めることで、優秀な人材の獲得や離職率の低下が考えられます。これからは、性別にかかわらず育児や介護など家庭の事情を抱える従業員が増えることが十分に想定され、企業側も対応を進めていく必要があります。

また、勤務地限定正社員によって地域との密着度があがり、より地域のニーズにあったサービスの提供や地元の顧客確保につながることが期待されます。

厚生労働省は、制度導入のためのオンラインセミナー(無料)も実施しています。(https://tayou-jinkatsu.mhlw.go.jp/seminar2020/index.html

同一労働同一賃金や、非正規社員の無期雇用化など、これまでの人材管理では対応できない状況になっています。改めて、従業員の働き方と人材活用のあり方について、考える機会とされてはいかがでしょうか。

キャリアアップ助成金の「正社員化コース」では制度導入による加算もあります。(https://www.mhlw.go.jp/content/11650000/000616643.pdf

※株式会社エムエムアイが運営する当事務所所属のデイリーコラムより抜粋。所属士業の先生方が執筆しています。(リンク)

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少子高齢化による労働者の減少が進む中で女性や高齢者の活用がいわれ、育児や介護にたずさわる男性も増加してきており、転勤・残業のあるフルタイムの働き方だけを認める従来の雇用管理だけでは、対応できなくなってきています。

非正規雇用の正規化や、副業・複業の推進などに対応するためにも、企業はより柔軟な人材マネジメントが必要となります。

従業員の多様性にあわせた選択肢を制度化することで、優秀な人材の獲得と活用につなげることが期待されます。

一方で、労働基準法等の法律を遵守しながら柔軟性を確保するのは難しい部分もあります。そのためにオンラインセミナーの活用、あるいは社会保険労務士等の専門家の活用も考える必要があるでしょう。

 

令和2年版厚生労働白書

第2章 「働き方改革の推進などを通じた労働環境の整備など」12 多様な正社員等の普及促進(p213)参照

https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/19/dl/2-02.pdf