今後の法令改正の予定の背景
一億総活躍社会の実現に向けて「働き方改革」が進んでいます。今後の改正は長時間労働の削減のための上限規制、非正規雇用の待遇改善の同一労働・同一賃金へと進んでいきます。
勤怠システムの種類
改革に合わせた労基署の監督内容を知っておくとよいでしょう。
臨検監督:監督官の主要な業務で事業所に立ち入り、関係労働者の労働条件や安全衛生等について調査する。原則予告なし。
・法違反が認められた場合は是正勧告
・要改善事項が認められた時は改善指導
・危険性が高い機械設備はその場で使用停止命令等が行われます。
臨検監督には計画的に任意に選定して行われる定期監督、労働者の申告による申告監督、労災の発生時による災害時監督、悪質・是正が不適切な時の再監督に分かれます。
勤怠システムで業務を分散
調査の順番が回ってきたときもあわてないように日頃からしっかりとした管理体制が求められます。
会社の組織図、労働者名簿、賃金台帳、就業規則(諸規程含む)、従業員別の時間外労働・休日出勤の実績資料、勤怠ログ当勤務実績がわかる資料、36協定書、変形労働時間制等の定めをしている場合の労使協定、変形労働時間制のシフト表、年次有給休暇管理簿、労働条件通知書の控え等について
①作成・届け出義務
②未記載項目がないか
③労働時間管理は適正か
④割増賃金が正しく支払われているか
をチェックされます。
また、健康診断の実施結果と50人以上事業所の場合は健康診断結果報告書、ストレスチェック実施報告書、安全委員会・衛生委員会の議事録等について安全衛生体制が適正になされているかをチェックされます。
指導の多いもの
指導が多いものとして、すべての労働者について客観的な方法での時間把握、みなし労働時間制の不適切運用、36協定を作成届けていない、36協定の労働者代表の不適切選出、名ばかり管理監督者、労働条件通知書を交付していない、未払い残業代等があります。日頃から必要書類を準備しておきましょう。
労働基準監督署の調査対象に選ばれやすい会社とは
任意に行っている定期監督ですが選ばれやすい会社はあるのでしょうか?
実際のところ、やはり調査対象として選ばれやすい会社はあるようです。一般的によくターゲットとされるのは、次のような会社だと言われています。
○ 就業規則の届出をしていない会社
○ 36協定の届出をしていない会社
○ 36協定の届出はしているが、協定する時間外労働の時間が長い会社
○ みなし労働時間制(裁量労働制)を採用している会社
○ 内部からの申告(告発)が頻繁にある会社
○ 労災事故がよく起こる会社
○ 一般的に、「サービス残業が多い」と思われている業種の会社(飲食業、運送業、広告業、卸売業、ITソフトウェア業など)
就業規則の届出や36協定の届出など基本的な届出すらしていない会社、内部からの告発があるなど会社の労務に不備が見られるであろうときや、サービス残業が多いと思われている業種の会社が対象になりやすいといわれています。
**************************************
労働基準監督官とは
労働基準監督官は、労働基準関係法令に基づいて、事業場(工場や事務所など)に立ち入り、法に定める労働条件や安全衛生の基準を事業主に守っていただくよう、必要な指導を行い、労働条件の確保・向上と働く人の安全や健康の確保を図ります。また、不幸にして労働災害に遭われた方に対する労災補償の業務を行います。
企業が労働基準関係法令の理解を深め、適正な労働条件の定着を図っていくことができるよう努めています。
労働基準監督官の権限
◆適正な調査を行うため、予告なく事業場に立ち入ることとされています。
ILO 第81号条約第12条第1項
「正当な証明書を所持する労働監督官は、次の権限を有する。
(a) 監督を受ける事業場に、昼夜いつでも、自由に且つ予告なしに立ち入ること。」
◆調査のため、事業場の帳簿書類を確認したり、従業員などに尋問したりすることができます。
労働基準法第101条第1項等
「労働基準監督官は、事業場、寄宿舎その他の附属建設物に臨検し、帳簿及び書類の提出を求め、又は使用者若しくは労働者に対して尋問を行うことができる。」
◆立ち入りや調査を拒んだり、妨げたりした者は、労働基準法により処罰される場合があります。
労働基準法第120条
「次の各号の一に該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
四 第百一条の規定による労働基準監督官(中略)の臨検を拒み、妨げ、若しくは忌避し、その尋問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をし、帳簿書類の提出をせず、又は虚偽の記載をした帳簿書類の提出をした者」
労働基準監督官が取り扱う法律
労働基準監督官が取り扱う、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、じん肺法、家内労働法、賃金の支払の確保等に関する法律などの法律を指して、労働基準関係法令といいます。
労働基準監督官が行う監督指導
労働基準法、労働安全衛生法などの法律に基づき、定期的にあるいは働く人からの情報を契機として、事業場に立ち入るなどにより、機械・設備や帳簿などを検査して、関係労働者の労働条件について調査を行います。法違反が認められた場合には、事業主などに対しその是正を指導するほか、危険性の高い機械・設備などについては、その場で使用停止などを命ずる行政処分を行うこともあります。
監督指導は、法違反等を是正していただくことが目的ですので、是正を確認すれば、監督指導は終了となります。
厚生労働省ホームページより