国税「新型コロナQ&A」逐次更新中

確定申告時期にぶつかってしまった新型コロナウイルスの感染拡大。国税庁は、文字通り「柔軟な対応」を行っています。

国税庁HPで公表された税務の取扱いの「Q&A」も逐次更新されており、わかりやすく、参考になるものが多々あります。

その中でも、個人事業者が見ておきたい問8「個人事業者の事業所得に赤字(損失)が生じた場合の取扱い」をご紹介します。

個人事業者の事業所得に赤字が生じた場合

個人の事業所得に損失が生じ、他の所得と通算してもなお赤字(純損失の金額)がある場合には、①青色申告を提出する事業者と②白色申告を提出する事業者で取扱いが異なります。

青色申告者は、純損失の繰越控除(3年)と繰戻還付(1年)ができますが、白色申告者は、純損失のうち「災害による損失等」の金額のみ、3年の繰越控除ができます。

青色

申告

白色申告
災害損失その他
繰戻還付×
繰越控除×※

※変動所得の損失金額は繰越可能

この「災害による損失等」とは、棚卸資産や事業用固定資産等に生じた災害による損失(保険金等はマイナス)で一定のやむを得ない支出とされています。

災害(新型コロナ関連)による損失の例

Q&Aでは、新型コロナに関連した「災害による損失等」を例示しています。

〈災害等による損失等に該当するもの〉

①飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損

②感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損

③施設や備品などを消毒するために支出した費用

感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気洗浄機等の購入費用

⑤イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損

〈災害等による損失等に該当しないもの〉

①客足が減少したことによる売上減少額

②休業期間中に支払う人件費

③イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料


※コラム寄稿時は、令和2年4月16日更新

「国税における新型コロナウイルス感染防止拡大への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」(国税庁 令和2年3月)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/faq.pdf

(引用)30頁~

〈所得税に関する取扱い〉

問 8 《個人事業者の事業所得に赤字(損失)が生じた場合の取扱い》〔4月 13 日追加〕

私は、居酒屋を営む個人事業主です 。 新型コロナウイルス感染症に感染したため、完治するまでの間、休業しました。この度の休業は、突然のことであったため、食材等を廃棄するとともに、店舗全体を消毒するなどの支出もありました。その後、 営業を再開しましたが、しばらくの間は客足が戻らず、例年に比べて収入も少ないため、本年の所得は赤字(損失)になる見込みです。

〇 令和2年において事業所得などに生じた赤字(損失)の金額がある方の税制上の取扱いについては、青色申告を行っている事業者と、白色申告を行っている事業者との違いによりそれぞれ、次のとおり取り扱われます。

【青色申告の方】

〇 事業所得などに赤字(損失)の金額がある場合で、他の所得と通算(損益通算)しても、なお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます(純損失の繰越)。

〇 また、純損失の金額が生じた年の前年(令和元年)も青色申告をしている場合には、その損失の金額の全部又は一部を前年(令和元年)に繰り戻して、前年分(令和元年分)の所得税の還付を受け(純損失の繰戻し)、繰り戻さなかった損失の金額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越すことができます。

〇 純損失の繰戻しの適用を受けるためには、繰戻しを行う純損失が生じた年分(令和2年分)の確定申告書とともに原則として確定申告期限(延長後の期限をいいます。)までに、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を所轄の税務署長に提出する必要があります。

「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/03_29.pdf

【白色申告(青色申告以外)の方】

〇 事業所得などに赤字(損失)の金額がある場合で、他の所得と通算(損益通算)しても、なお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)のうち、「事業用資産 に生じた災害による損失等」については、その損失額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます。

〇 「事業用資産に生じた災害による損失等」とは、棚卸資産や事業用の固定資産などに生じた災害による損失をいい、その災害に関連するやむを得ない支出で一定のものを含みます。(以下略)

 

所得税法第70条(純損失の繰越控除い)

(第1項)

確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前3年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。)において生じた純損失の金額(())がある場合には、当該純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。

(第2項)

確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前3年内の各年において生じた純損失の金額(前項の規定の適用を受けるもの及び第142条第2項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)のうち、当該各年において生じた次に掲げる損失の金額に係るもので政令で定めるものがあるときは、当該政令で定める純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。

一 変動所得の金額の計算上生じた損失の金額

二 被災事業用資産の損失の金額