浸水リスクを認識し、被害を想定する

最近の豪雨災害による被災状況は目を覆うばかりです。令和2年7月豪雨は、特定非常災害の指定が閣議決定されました。

事業継続のため河川の氾濫などによる浸水被害リスクを認識し、これまでの常識にとらわれることなく備えることが求められています。自治体のHPでは、地域ごとにハザードマップを公開しており、洪水や高潮による自社の浸水リスクを視覚的に把握し、被害を想定することができます。過去の被災記録、被災土地の形状も有用な情報です。

事前に講じるリスク対策

浸水が発生する前の現実的な対策として、次のものが検討できます。

  • 保険の付保(水災保証)
  • 電源装置、サーバーの階上への移設
  • データのクラウド保存
  • 防災・復旧のための設備投資(発電設備、止水板、排水ポンプなど)など

防災のための税制・助成金を活用する 

自然災害に備える中小企業者を支援する公的な措置には、次のものがあります。

  • 中小企業防災・減災投資促進税制(中小企業庁) 

中小企業経営強化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受けて防災・減災設備を取得した中小企業者には、事業供用年度にて取得価額の20%の特別償却ができる措置が設けられています。

機械・装置(100万円以上)、器具・備品(30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)。自家発電設備や排水ポンプ、止水板、防水シャッターなどの取得が対象です。

  • BCP実践促進助成金(東京都中小企業振興公社)

東京都が、自然災害や感染症による不測の事態に備えてBCP(事業継続計画)を実践する都内に本社を置く中小企業者に対し助成金を交付する制度です。 BCPの実践に必要な設備・物品の購入・設置費用として上限1,500万円の助成金が交付されます。

BCPの実効性を高めるために

災害発生直前まで、気象庁の発表するリアルタイム情報やタイムラインを活用して被害を最小にとどめる措置を講じます。災害発生前の備えにより、社員の安全確保、設備・データの保全につなげましょう。

※株式会社エムエムアイが運営する当事務所所属のデイリーコラムより抜粋。所属士業の先生方が執筆しています。(リンク)

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BCP策定手順

  • 目的の明確化

会社にとって守るべき資産は何かを明確にする。

  • リスク認識と被害想定

ハザードマップ、令和2年7月豪雨災害から自社の事業継続に及ぼす影響を想定する。

  • 初動対応手順の策定

豪雨災害発生までのタイムラインを置いて、防災対策、避難措置について人ごとに行動を定める

  • 災害対応の実効策を策定(社員、設備、情報、資金)

浸水による被害を最小化するために、社員、設備、情報の保全、資金の確保のため取りうる手段を講じる。

  • 推進体制の整備

経営者をトップに災害発生時の推進体制を組む。豪雨災害の場合、数日前から災害対応組織を立ち上げる。

  • 訓練の実施と見直し

平時から、被災を想定した訓練を行い、被害想定や対応措置の漏れに気づき、社員全員が意識して行動する。

  • 連携体制の確立

発災時には、サプライチェーンの親企業、同業者組合、地域の会社、市区町村との連携が有効になる。

中小企業防災・減災投資促進税制(中小企業庁) 

租税特別措置法44条の2(特定事業継続力強化設備等の特別償却)

  • 制度の概要

中小企業者が、事業継続力強化計画に基づき、自然災害に備えて取得した設備について、取得価額の20%について特別償却の措置を受ける。

  • 適用対象者

事業継続力強化計画の認定を受けた中小企業者

・資本金・出資金 1億円以下

・常時使用する従業員1000人以下の個人事業主など

  • 適用対象期間

令和元年7月16日~令和3年3月31日

  • 適用手続き

事業継続力強化計画または連携事業継続力強化計画を策定、主たる事業所の所在地を管轄する経済産業局に申請、認定を受けて設備を取得、事業の用に供する。

  • 対象設備(例)

機械・装置(100万円以上)自家発電機、排水ポンプ

器具・備品(30万円以上)  すべての設備

建物附属設備(60万円以上)止水板、防水シャッター

BCP実践促進助成金(東京中小企業振興公社)

BCPを実践する設備を導入するための経費の一部を補助

  • 助成金限度額・助成率

上限1,500万円  下限10万円

中小企業者等: 助成対象経費の2分の1以内※

小規模企業者: 助成対象経費の3分の2以内※

  • 申請要件 ※感染症対策を含むBCPは5分の4以内

東京都中小企業振興公社の実施するBCP策定支援講座(ステージ1)受講内容を踏まえたBCPの策定、または、中小企業等経営強化法に基づく事業継続力強化計画の認定を受けた内容に基づくBCPの策定など

  • 助成対象事業

原則は都内の事業所に設置。都内に本店を有する場合茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・神奈川・山梨の設置も可。

参照HP 

国土交通省 「ハザードマップポータルサイト」

https://disaportal.gsi.go.jp/

東京都建設局「浸水予想区域図」 https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/river/chusho_seibi/index/menu02.html