労働時間における変形労働時間制は、厚労省の調査によると平成31年では過半数以上の企業が採用しています。しかし正しい運用が難しいだけでなく、特に時間外労働の計算方法が複雑でそのため誤った運用になっている例もあります。

1か月単位の変形労働時間制時間外の扱い

1か月単位の変形労働時間制は労使協定又は就業規則に規定して運用ができます。労使協定を労基署に届け出る必要はありません。1か月以内の一定の期間を平均し1週間当たりの所定労働時間が40時間(10名未満の商業・サービス業は44時間)を超えない定めをしたときは、特定された週や日において法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

一般的な労働時間は1週40時間、1日8時間を超える実労働時間が時間外労働となりますが、変形労働時間制ではそれを超えてもあらかじめ特定された所定労働時間内であれば時間外労働にはならず残業代は発生しません。この場合は所定労働時間が法定労働時間を超えて設定されている週又は日は法定労働時間を超えた部分が時間外労働となります。

これは週単位、日単位の労働時間の把握が必要です。1か月間の対象期間の法定労働時間の総枠(40時間×月の暦日数÷7で計算)だけでは判断できません。つまり時間外労働の計算は①日々について→②週について→③変形期間の順にその合計時間数が時間外労働の時間数となります。

簡易な判断方法

各月の日、週、変形期間の順に時間外労働をチェックするのはなかなか大変です。もう少し簡単に判断する方法はないでしょうか。一つの方法として所定労働時間超の労働時間をすべて時間外労働とみなすことで1回のチェックで済みます。この場合、各月の暦日数に応じて月間所定労働時間の総枠を設定、月間所定労働時間の総枠を超える時間数をすべて割増の対象とする。月間所定労働時間はできるだけ法定労働時間に近づける(法内か法外かの判断の手間は省けるが割増無し部分1.0の賃金も割増有り1.25増で払うこととなるため差の時間数を減らしておく)。また、1日の所定労働時間はあまり何種類も作らず、働く人も毎日働く時間がある程度固定化されている方が働きやすいと言えるでしょう。

※株式会社エムエムアイが運営する当事務所所属のデイリーコラムより抜粋。所属士業の先生方が執筆しています。(リンク)

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1か月単位の変形労働時間制は、1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間(特例措置対象事業場(※1)は44時間)以内となるように、労働日および労働日ごとの労働時間を設定することにより、労働時間が特定の日に8時間を超えたり、特定の週に40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えたりすることが可能になる制度です(労働基準法第32条の2)。

(※1)常時使⽤する労働者数が10人未満の商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業、 接客娯楽業

1 1か月単位の変形労働時間制の採用方法

2 労使協定または就業規則などに定める事項

次の事項すべてを、定める必要があります。

① 対象労働者の範囲

法令上、対象労働者の範囲について制限はありませんが、その範囲は明確に定める必要があります。

②対象期間および起算日

対象期間および起算日は、具体的に定める必要があります。

(例:月 1日を起算日とし、1か月を平均して 1週間当たり40時間以内とする。) なお、対象期聞は、1か月以内の期間に限ります。

③ 労働日および労働日ごとの労働時間

シフト表や会社力レンダーなどで、②の対象期間すべての労働日ごとの労働時聞を あらかじめ具体的に定める必要があります。その際、②の対象期聞を平均して、 1週間あたりの労働時聞が40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えないよう設定しなければなりません( 「3労働時間の計算方法」参照)。なお、特定した労働日または労働日ごとの労働時聞を任意に変更することはできません。

④ 労使協定の有効期間

労使協定を定める場合、労使協定そのものの有効期間は②の対象期間より長い期間とする必要がありますが、 1か月単位の変形労働時間制を適切に運用するためには、3年以内程度とすることが望ましいでしょう。

3 労働時間の計算方法

対象期間を平均して1週間あたりの労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44 時間)を超えないためには、対象期間中の労働時間を、以下の式で計算した上限時間以下とする必要があります。(表略)

4 割増賃金の支払い

1か⽉単位の変形労働時間制を採⽤した場合、割増賃⾦の⽀払いが必要な時間外労働となる時間は以下のとおりです。 ① 1日については、8時間を超える時間を定めた日はその時間、それ以外の日は8時間を超えて労働した時間 ② 1週間については、40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超える時間を定めた週はその時間、それ以外の週は40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えて労働した時間(①で時間外労働となる時間を除く) ③ 対象期間における法定労働時間の総枠を超えて労働した時間(①または②で時間外労働となる時間を除く)

(注1)育児を行う者などへの配慮

育児を⾏う者、⽼人などの介護を⾏う者、職業訓練または教育を受ける者その他特別の配慮を要する者については、これらの者が育児などに必要な時間を確保できるよう配慮しなければなりません。

(注2) 1か月単位の変形労働時間制を採用できない者

・ 満18歳未満の年少者(ただし、満15歳以上満18歳未満の者(満15歳に達した日以後の最初の3⽉31日までの間を除く)については、1週間48時間、 1日8時間を超えない範囲で採⽤可)

・妊産婦(妊娠中及び産後1年を経過しない⼥性)が請求した場合

 

厚生労働省 HPより